REITファンド 高分配の工夫
市場が急拡大している不動産投資信託(REIT)。年金代わりとリタイヤ層の支持を獲得し、上場REITの市場規模は8兆3000億円と過去5年で3倍になったそうです。
株など値動きの激しい他の資産に比べ、不動産は毎月着実に賃料を生み出す安定収益源。REITには法人税の免除と引き換えに、利益の90%超を投資家に分配する決まりがあります。
このためREITの分配金利回りは平均3.5%と、東証1部上場企業平均の配当利回り(2%弱)に比べ高くなっています。
■REITファンドも活況
それ自体がファンドであるREITをさらに複数束ね、投信の形にしたものがREITファンド。
こちらもREIT同様に活況をみせています。上場するREITの銘柄数46を上回る90本あり、残高は2兆5000億円(投資信託協会調べ)に上る。
この活況の理由の1つが「分散効果」です。REITを複数保有すればさらに高まり小口化のニーズもあります。REITそのものの購入は現在、最低20万円弱から、REITファンドなら通常1万円から購入できます。
しかし、ファンドが組み入れるREITは46本しかない。約3500銘柄から作る日本株投信などと比べ、銘柄選びで違いを出すのは困難です。
銘柄選びで差がつきにくい半面、各ファンドは高い分配金を出す仕組みづくりに「工夫」を凝らしているのです。
高利回りは魅力ですが、それを可能にする裏の仕組みにこそ注意が必要です。
たとえば高金利通貨への投資を組み合わせ、金利差や為替差益も上乗せする「通貨選択型」。ある通貨選択型REITファンドの円コースの3年リターン(年率換算)は17%。これがブラジルレアルで約18%、豪ドルなら約23%と高くなります。
さらに日本以外の世界のREITに投資するグローバルREITファンドもありますが、為替リスクのほか、投資先国の不動産市況や金利動向などに直接左右されてしまいます。
高利回りを追求する過程で取ったリスクがあることは特に注意したいものです。