生前贈与に信託②
■贈与不安に対応したサービス
例えば、祖父が孫に現金を贈与するケースを想定しましょう。形式上は、祖父が孫名義の口座に送金すれば資金が移動したようにみえます。
しかし、当事者だけで贈与を進めるとトラブルの壁が立ちふさがります。
○孫は本当にお金を受け取る意思表示をしたか?
○他人の目からも分かる証拠は残っているか?
○証拠があったとして、いつの話か?後からこじつけたものではないのか?
このように税務調査で少しでも怪しい部分があると、贈与を否認されてしまいます。
そこで祖父は第三者(信託銀行など)にサポートしてもらう契約を結び、資金を信託する形をとります。資金を預かった信託銀行は、祖父から「孫に100万円贈与してくれ」という内容の依頼書を受け取ると、その指示により贈与手続きを進めます。信託銀行は孫から確認書を取り、資金を移動します。
このような形をとれば、信託銀行が贈与手続きを取り次ぐので、当事者の手間は少なくなります。また、第三者が関与して手続きを進めるため、証拠が残ります。祖父や孫が自分で贈与契約書を作り、確定日付を取り、振り込みに行くなどの苦労はなくなります。
また毎年確認を受けるので贈与を忘れることもありません。孫の口座残高を知らせてもらい翌年の贈与額を決める参考にできるなど、第三者に預ける形ならではのメリットとも期待できます。
もちろん、こうした毎年の贈与(暦年贈与)をサポートする信託銀行の商品を利用すれば、贈与税がすべて非課税になるわけではありません。
もともと贈与税がかかる資金移動は課税される場合があり、個別の検討と注意が必要です。
このような注意点はありますが、高まる生前贈与ニーズに応える仕組みであることは間違いないですね。