積み立て年金保険②
ところで、掛け金積立時と年金受取時では、実質利回りがまるで違う。
先に積み立てた360万円を60歳から10年確定年金で受け取る場合、アフラックの総受取額は387万7400円(返戻率107.1%)で実質利回りは約0.15%。
三井住友海上あいおい生命は385万1000円(同107.1%)で約0.17%。
それなら掛け金全額を初回に納めたくなるが、一時払いの予定利率を引き下げている保険会社も少なくない。
例えばソニー生命の予定利率は平準払いでは1.10%だが、一時払いでは1.00%である。
60歳時に一括受け取りの仕組みがない個人年金は、解約という形を取ることになる。
例えば、第一生命やソニー生命は60歳時に解約しても返戻金は積立額とほぼ同額だ。実質利回りはゼロになる。
一方、これら一括受け取りができない個人年金の受取額は、総じて高い傾向にある。
第一生命は掛け金総額360万円に対して、10年確定年金で394万3000円(返戻率109.1%)。
ソニー生命は337万2480円に対して400万円(同118.1%)だ。
■職場の団体年金を探そう
個人年金に対し、職場を通じて個人が積み立てられる制度が団体年金だ。筆者の講演先となる労働組合の多くに採用されている。
一般的な予定利率は1.15%だが、男性30歳から60歳までの掛け金総額360万円に対し、60歳時に一括で受け取る場合は417万8419円(返戻率116.1%)、10年確定年金なら437万2150円(同121.1%)と群を抜いている(全労済の新団体年金共済の場合)。
予定利率はソニー生命より低いのに返戻率で勝るのは、掛け金の95.1%が運用に回っているからだ。
予定利率だけで選んではいけない理由はここにある。
さて、月1万円を積み立てるくらいなら、住宅ローンの返済に充てるのも一手だ。
2000万円の住宅ローンを金利1.16%、30年で元利均等返済すると月返済額は7万3524円。
ここに月1万858円を上乗せすれば返済期間は25年まで短縮される。
削減利息は約115万円で、返戻率換算では138.1%相当だ。
お金はプラスの運用とマイナスの運用の一体構造を理解すると、予定利率の議論そのものが消し飛ぶのである。