「賃貸派」の老後とは・・・②
生涯賃貸派には一定の合理性があります。所得水準の変化や家族構成の変化に応じて、ちょうどいい広さや家賃の物件に住み替え続けることがメリットです。年収がダウンしたときに遠くの物件や狭い物件に引っ越し、倹約することも可能です。
一方、生涯賃貸派にも弱みがあります。バラ色老後に向けて不安が残ることです。「老後の家賃は国も会社も補助してくれない」わけですから、老後の家賃分を確保する必要があるわけです。
65歳の男性は約19年、女性は約24年の老後が待っています。ひとまず20年と仮定し、毎月8万円の部屋に暮らすとします(それでは狭すぎるので16万円の部屋で老後を送りたい人は以下の数字を2倍してください)。家賃は年間96万円、20年では1920万円必要です。賃貸なら更新料がかかるでしょうから、2000万円突破は確実です。
これは普通の世帯に「老後の準備目標は3000万円」と説明するものとは別に考えるべき老後資金です。「生涯賃貸派の老後準備額は5000万円以上」となります。
さらに賃貸派は長生きするほど多くの家賃が必要です。必要な家賃を30年分見積もると、家賃8万円だと2880万円が必要で、予算額は1.5倍に膨らみます。生涯賃貸派は老後準備をかなり上方修正して、必死にお金をためる必要があるわけです。