原油価格下落の副作用
原油価格が大幅に下落しています。
2014年6月には、1バレル100ドルでしたが、2015年1月には1バレル45ドル前後まで下落しています。
マスコミやアナリストの解説によれば要因は複数明らかにされていますが、原油価格について言えば「バブルが崩壊した」と指摘できると思います。
つまり、原油価格のバブル崩壊は、さまざまな形で実体経済や金融市場に影響を与えると思います。
まず、出光興産など石油精製元売り各社は、在庫について大規模な評価損を計上することになりました。
そして、原油価格下落に伴って、エネルギー各社は設備投資を減らす決定をしていますので、キャタピラーやコマツなど設備投資関連企業は受注が減少し、減益決算を余儀なくされています。
また、アメリカのシェールオイル関連を対象としてMLP投資信託が大幅に下落し、投資家に損失をもたらしました。
他にも、エネルギー関連企業の設備の評価価値が減少することによって、エネルギー関連企業に融資した銀行は貸倒引当金の計上が必要となっています。
資源権益を持つ、丸紅などの商社も特別損失を計上しました。
以上のような要因により、当面の間、日本経済だけでなく世界経済の拡大基調にブレーキがかかる恐れがあります。
また、原油価格の下落が原因で、中東の産油国の原油収入が大幅に減少し国家財政が逼迫し、これを穴埋めするために、産油国が運用する7兆ドル規模のファンドが、いま世界の金融市場で「売り」に動いているようです。
7兆ドルといえば、日本円で約800兆円です。
日本の年金でも太刀打ちできない規模のファンドが換金売りに動いている間は、日本も含めた世界の株式市場が、上昇トレンドに乗るのは難しいと思います。
