韓国の不動産事情
全世界で韓国ほど家計資産が不動産に偏った国は見当たりません。
韓国で不動産などの非金融資産が総資産に占める割合はなんと75%にもなります。
これに対し米国の家計資産のうち不動産の割合は32%に過ぎず、日本も41%程度です。
韓国の不動産偏り現象は、1989年の不動産バブル崩壊直前、日本の70%よりもはるかに深刻です。
特に韓国を除くほとんどの国では、引退に近いほど全体の資産の不動産が占める割合が減る一方、韓国は年齢が高いほど、不動産比重が高くなる珍現象が起きています。
2014年の家計金融・福祉調査によると、30代の実物資産所有者の場合、純資産の69%が不動産でした。
ところがこの比率が年齢に比例して高くなり、60歳以上の世帯主の場合、純資産のなんと90%が不動産でした。
韓国独特の現象はこれだけではありません。
30代の世帯主の場合、平均的に自分の所得と同様の金額の借金をしていますが、60代以上の場合、自分の収入の1.6倍の融資を受けています。
年齢とともに不動産の割合を減らし、融資を返済していく他の国とは正反対に、年齢が高いほど自分の年収よりも多くの負債を抱えて不動産を維持しているのです。
韓国の場合、不動産への偏りがあまりにも過度となっているので、すでに年老いた世代にはこれ以上の不動産に投資する新たな需要を見つけるのは不可能です。
需要として残っている市場は、これから就職するような若い世代のみですが、これらの世代人口は2次ベビーブーマーの半分に過ぎません。
しかもパートタイムの仕事を転々とする20~30代の賃金上昇率は既成世代の半分にもなりません。
このように経済状況が完全に変わったのにもかかわらず、既成世代は来るかどうかもわからない不動産価格の上昇を待ちながら戦々恐々として不動産を抱きしめて老後を迎えているのです。