見かけの数字に要注意! ハズレを掴まないための指標の見方
ROEという指標を耳にした事はありますか?
これはReturn Of Equity(自己資本利益率)と呼ばれる指標です。
最近投資判断の材料として注目を浴びています。
また経営側としても、日立製作所や三菱重工業、ソニーなどがROEを経営の重要指標としています。
従来は売上高や利益率が重要視する、いわゆる経営規模の拡大が焦点となっていました。
それが今、変わりつつあります。
株主から預かった資産をどれだけ有効に活用できているか、すなわち収益性の向上が重視されるようになってきているのです。
昨年から日経JPX400という指数が算出されるようになりました。
これはROEの高さなどを基準に銘柄を構成したものですから、いかに注目の度合いが大きいかが窺い知れます。
また、近頃は企業による自社株買いというものが多く行われています。
これもROEを向上させるための手段の一つです。
他には増配を実施して株主への配当金を増やしている企業も多く見られます。
東証一部に上場しているファナック(証券コード6954)という企業があります。
この企業は大変規模の大きい会社で、莫大な現預金を保有している事で有名です。
海外の投資家がこの企業の株式を購入し、企業に対してROEを高めるよう提言した、などというニュースもありました。
日本の株式市場においても、高ROE企業が人気となり株価が上昇している、という場面がよく見られます。
しかし、ただ単にROEが高いから、という理由だけで企業を判断してしまわないように気を付けなければなりません。
どういう理由でROEが高くなっているのか、という点が重要です。
前述のファナックを引き合いに出しますと、この企業は内部留保を多く抱えている、という事が言えると思います。
この資産が有効に運用されていないため、利益が出ているためにこれを株主に還元する事にした、と仮定します。
すると株主への配当金支払いが増加し、自己資本のうち利益剰余金が減少します。
財務諸表の詳しい説明は割愛しますが、これによってROEが上昇する、という事になります。
この場合、ROEの上昇は概ね好感をもって迎えられます。
これとは逆に、ファナックのように内部留保があるわけでもなく、利益も大して上がっていない、という企業があったとします。
この企業が自社株買いを実施した、と仮定しましょう。
結果だけ見れば、自己資本のうち資本金を償却する事になりますから、ROEは上昇します。
しかし少ない利益から自社株買いでROEを改善させたとしても、それは本当に株主のためになるのでしょうか?
本来であれば、ROEを改善するよりも先に経営に資本を投下しなくてはならない、というのが一般論として言えるでしょう。
このように、ちょっとした財務上のテクニックで見かけを良くする、という事が可能な指標でもあるのです。
企業が株主に対して配慮をする傾向が強まる、というのは投資家として好ましい環境ではあります。
しかし投資家を釣り上げるために指標を良く見せよう、とする企業が皆無とは言い切れません。
脚光を浴びているROEではありますが、投資に際しては十分にお気をつけ下さい。
